体温調節で健康維持! Vol. 5

体温調節で健康維持! Vol. 5

《“冷え”は万病の元 》
“冷え”とはどういう状態なのでしょう?
体のほかの部分では特に感じないのに、手先や足先など特定の部分だけが過敏に冷たさを感じ不快な
状態を“冷え”と言います
例えば、上半身は暑くて汗をかくほどなのに、膝下だけが妙にゾクゾク冷えて寒いような状態なども
“冷え”の症状の一つです
●“冷え”の症状と原因
冷えの症状・・・頭痛、めまい、のぼせ、下腹部痛、不眠症、不感症、便秘、下痢、食欲不振etc
冷えの原因・・・循環器障害や自律神経機能の失調、貧血、低血圧、ホルモン分泌障害などが
        主な原因と言われているがはっきりとは特定できていないのが現状
* 自分自身で“冷え”を自覚している場合はまだいいほうですが、更に“冷え”が強くなると
感知能力の低下もしくは麻痺により“冷え”を感じる事が出来なくなって、逆に“ほてり”
や“冷えのぼせ”と言われるような症状が出てきます
●“冷え症”と“血行障害”
  体質的に冷えやすく、また冷えに対して過敏でもあり、それに伴って様々な不快な身体症状が発症
  する状態のひとを「冷え症」と言いますがこれはあくまで症状名であり病名ではありません。
  ちなみに同じ発音でも「冷え性」という言葉は東洋医学で使われるものです。
  「冷え症」は現代医学では「抹消血管の血行障害」と言うことになります。
  本来、人間の体は「寒い!」と感じた場合・・・
体温が外に逃げないよう抹消血管を収縮
  ↓
(一定時間経過後)
  ↓
抹消血管に血液を送り(抹消血管の拡張)体表温度が下がりすぎないよう調節

・・となるはずなのですが「冷え症」の場合、いつまでも血管が収縮したままで血液がスムーズに
流れることができずに冷えてしまうのです。
●女性に多い「冷え症」
  「冷え症」は男性よりも女性に多く、その理由のひとつは女性と男性の体の造りの違いにあります。
  一般に、女性は男性よりも筋肉量が少ないため、筋肉を動かすことで発生する熱量が少なくなり、
“冷え”になりやすいということになります。
  また、女性は月経周期による基礎体温の変化があり、特に生理前や排卵期には体の状態が不安定に
  なるため“冷え”や低体温の影響を受けやすいのです。

<冷えのタイプ>
① 皮膚センサーの感知異常タイプ
常にエアコンの効いた環境にいたり、寒すぎる空気に長時間さらされたりするなどの環境要因。
また、ミニスカートや薄着、身体を締めつける矯正下着やきつすぎる下着や靴下、靴などを
日常的に身に着けていることにより、皮膚感覚が正常に働かなくなってしまうことで起こる
“冷え”のタイプです。
これは、上記のような要因により体表で情報をキャッチする皮膚センサーに異常が生じてしまい、
脳に送られるべき情報がきちんと送られなくなってしまった状態とも言えます。
② 自律神経失調症タイプ
自律神経失調症までには至らずとも、何らかの原因で交感神経と副交感神経のバランスが崩れ
“冷え”が生じているタイプです。
緊張やストレスが自律神経に作用して血管を収縮させ、体の末端部にまで熱が行渡らないことに
よっておこる“冷え”の状態です。
③ ホルモンアンバランスタイプ
特に女性に多いタイプです。25~30日の月経周期に伴い女性の体は常に変化しています。
この「性周期」をコントロールしているのが脳の視床下部ですが、視床下部は同時に自律神経の
バランスもコントロールしているのです。
周期に伴い変化するホルモンバランスが自律神経のバランスにも多大な影響を与え“冷え”の症状
を起こしてしまうというタイプです。
「更年期障害」の症状として出てくる「手足の先は冷たいのに顔はのぼせて汗をかく」というような
状態も、ホルモンバランスの崩れによる自律神経の不調で起こる「冷えのぼせ」と言えます。
④ ポンプ力低下タイプ
血液は、心臓から送り出されて体の様々な器官を巡り再び心臓に戻ります。
心臓から送り出された、栄養や酸素を豊富に含んだ血液が通るのが「動脈」
その血液を体の隅々に行き渡らせるのが「毛細血管」
毛細血管で二酸化炭素や老廃物を回収し「静脈」を通って再び心臓に戻ります。

ところが、心臓から血液を送り出す力が弱かったり、運動不足などで筋力が低下していると、
静脈からの血液の戻りが上手くいきません。すると血液のスムーズな流れが阻害されて、栄養素、
酸素不足に陥り、エネルギーが作り出されずに起きる冷えのタイプです。
⑤ 貧血タイプ
血液中の赤血球(ヘモグロビン)には酸素を運搬する働きがあります。
私たちが呼吸をして肺に新鮮な空気を取り込んだその瞬間に、肺の毛細血管の中でヘモグロビンは
酸素と結合し、不要な二酸化炭素を放出しています。
酸素と結合したヘモグロビンは血液中に入り体の隅々に送られるのです。
この赤血球(ヘモグロビン)が不足し酸素が足りないために必要なエネルギーを作り出せず、
疲れやすくなり、手足が冷えてしまうと言うのがこのタイプの“冷え”です。
⑥ 病気タイプ
疾患による“冷え”はその病気自体を治療しなければ治りません。
“冷え”の対策をしても一向に改善されず、なおかつ“冷え”以外にも下記のような症状があれば
安心のためにも専門医の診断を仰ぐことをお勧めします。
●症状例・・・呼吸の異常、急激な体重減少、ひどい無気力、度重なるめまい、冷えで手足が痛む
しびれる、レイノー現象(注:1)、爪の変形、唇の血色が紫になる、肌が黒ずむ、
顔や足がひどくむくむ、関節が痛む、月経不順etc
●発症の可能性のある疾患
   肝臓病、腎臓病、心臓病、などの内臓疾患
   自律神経失調症、レイノー病(注:1)、膠原(こうげん)病(注:2)・・・など

   注:1 <レイノー病>
   寒冷刺激を受けたとき、あるいは精神的緊張により手足の指の血管が急に痙攣して血流が滞り、
   指の色が蒼白→紫青色に変化する症状。刺激がなくなってしばらくするともとに戻りますが、
   この様な現象をレイノー現象といいます。
   レイノー現象は、手足におこることが多く蒼白になると冷感や痺れも現れ、感覚がなくなったり
   痛みを伴う事もあり、放っておくと潰瘍や壊死を生じることもあります。
   特定の原因となる病気がなくレイノー現象が起こるのがレイノー病で、比較的若くて虚弱体質の
   女性に多く見られます。
   注:2 <膠原病>
   自己免疫疾患で、多くの臓器に障害が起こり全身に炎症が起きてしまう原因不明の病気の総称です。
   障害を起こした臓器により様々な症状があり、発熱、倦怠感、体重減少、関節炎、レイノー現象、
   貧血、腎障害などです。